骨盤底筋のトラブル

骨盤底筋とは

膀胱・子宮・直腸など骨盤内の臓器が下がらないようにハンモックのように骨盤底を支えている筋肉が骨盤底筋です。
尿道・膣・肛門周辺を締める/緩める動きをすることで排尿・性交・排便機能に関与します。
骨盤底筋の働きが低下すると、頻尿・尿漏れ・便失禁・外陰部の掻痒感や出血・骨盤内の臓器の下垂や脱出などの症状をおこします。

骨盤底筋がダメージを受ける要因

  • 妊娠・出産:妊娠時の体の変化や出産時の産道への負荷は骨盤底筋が受ける中でも最も大きなダメージです。出産後は数か月で自然に回復する方がほとんどですが、受けたダメージは更年期あたりから症状を起こす原因になります。
  • 肥満:体重の増加によりその重さを支える骨盤底筋に慢性的にダメージを与えます。
  • 加齢・閉経:年齢とともに全身の筋肉量や筋力は低下します。また、女性ホルモンの減少と共に尿道や膣壁が薄くなり炎症を起こしやすこなります。
  • 腹圧:せき・くしゃみ・笑う・重いものを持つなど腹筋に一時的に強い力がかかります。咳が出る持病や常習便秘では長期間にわたって負荷がかかります。ガードル・コルセットを常用する人、重いものを持つ仕事の人、腹筋トレーニング・ジョギング・ジャンプする動作のある運動を日常的に行う人も骨盤底筋は衰えがちです。

骨盤底筋体操のやり方

骨盤底筋は筋肉なのでトレーニングによって機能を回復・維持することもできますし、ダメージを受けたり適切な負荷がかからないと衰えもします。筋力の維持・向上のためには継続して行うことをお勧めしています。

  1. まずはリラックスした状態になります。どんな姿勢でも行えますが、最初はあおむけの姿勢がやりやすいかもしれません。
  2. 骨盤底筋にある3つの穴(尿道・膣・肛門)を締めあげる感じで、体の中側に引き上げる感じでゆっくり締めます。(おしっこを我慢するような、おならを我慢するようなイメージです。わかりにくければ実際手で触ってみて、筋肉が収縮する感じや、引き込まれるような動きをすること確認します。)
  3. 締めたまま5~10秒キープします。
  4. ゆっくり緩めます。

1)~4)を繰り返し行います。朝・昼・夜・就寝前に10回とか分散して行うのを基本として、慣れてきたら電車を待っているときや、テレビを見ながら、など隙間時間を利用して行うことも出来るようになります。1日トータルで30回~100回くらいを目標にします。 体操の効果が出るのは個人差もありますが、1か月~3か月くらいで効果を感じる方が多いです。効果が感じられない場合は、体操の際にうまく筋肉を意識できず間違ったやり方になってしまってることが多いです。もう一度骨盤底筋の締め方を確認しながら行ってください。

骨盤底筋体操以外の治療法

体操の効果が出るには数か月かかりますし、病状の程度によっては体操だけでは改善しない場合もあります。
どんな症状や重症度の方でも体操を継続することをお勧めしますが、体操のほか薬物療法や手術療法を併用することで症状の改善が期待できます。
当院では症状を改善する内服薬や漢方薬の処方、外陰部掻痒感や出血には女性ホルモンなどの薬物療法を行っております。
重症の方や、手術療法をご希望の方は治療が可能な近隣の医療機関へご紹介いたします。