ホーム > 婦人科のご案内 > おりものの異常について

おりものの異常について

医療法人みらいグループ

子宮や膣から分泌されて流れ出るおりもの(帯下)と呼ばれ、心身状態によって分泌量や性質は異なります。
おりものは、女性の健康のバロメーターです。色やにおい、量の変化を日頃から確認しておきましょう。
これから説明するような変化があれば、お気軽にご相談ください。

おりものの役割

おりものは、子宮内膜や膣から分泌されるものです。膣内の潤いを保って粘膜が傷つかないよう守ったり、細菌やウイルスが膣内に入らないよう防いだりする役割があります。
他にもスムーズな性交の手助けや、妊娠のために必要な存在ですので、女性の身体にとって非常に大切な役割を持っています。

通常は透明〜クリーム色のような色味で、下着などについて乾燥すると黄色く変化します。膣内には「乳酸桿菌」などの常在菌がいて、その影響でおりものは「少し酸っぱいような匂い」であることが多いです。

おりものの性質

おりものは、生理周期に合わせた女性ホルモンバランスの変化に伴い、少しずつ性質が変わります。

生理中

生理中は、おりものはごく少量なことが多いです。出血と混じり合い、おりものが出ていることはわかりにくいでしょう。

卵胞期

卵胞期は、生理が終わってから1週間程度の期間です。徐々におりものの量が増えていきます。比較的サラッとした水のようなおりもののことが多いです。

排卵期

生理と生理の中間くらいの時期が排卵期です。排卵期にはおりものの粘り気が強くなり、精子が子宮に到達しやすくなるよう手助けしています。

黄体期

生理前の1週間くらいの時期が黄体期です。おりものの量はだんだんと減ってきますが、白くどろっとした性状になるため不快感をおぼえる方が多いかもしれません。生理が近づくにつれ、ニオイも強くなることが多いです。

おりものが変化する状態や病気

異常がみられるおりものには、色、匂い、分泌量、それぞれ普段と異なり身体の異変を感じることもあり、それらは何かの病気のサインとして現れている場合があります。

疑いのある病気 性状 ニオイ 他症状
細菌性膣症
灰色~白色
サラサラ
生臭い
おりものの量が増える、下腹部痛、不正出血
膣カンジダ症
白色
ポロポロ、ヨーグルト状
酸っぱい
おりものの量が増える、かゆみ、ヒリヒリ感
クラミジア子宮頸管炎
白色
サラサラ、水っぽい
-
おりものの量が増える、下腹部痛、性交痛、不正出血
淋菌感染症
黄緑色
-
ニオイが強い
おりものの量が増える、かゆみ、膀胱炎のような症状、不正出血
膣トリコモナス症
黄緑~黄色
泡状
悪臭、魚の腐敗臭
おりものの量が増える

出血が混じる

出血が混じると、おりものがピンク〜茶色に変化します。
膣から出血する原因はさまざまです。ホルモンバランスの変化によって一時的な不正出血を起こしているだけのことも多いですが、子宮頸がんや子宮頸部びらん、ポリープなどの可能性もあります。

出血の原因によっては、治療が必要かもしれません。以下のような場合は、一度婦人科で検査をされるとよいでしょう。

  • 頻繁に出血が混じる
  • 不正出血が何日も続く、常に出血が続いている
  • 閉経したのに出血するようになった
  • 性交渉や運動のあとに必ず出血する

膣カンジダ症

膣カンジダ症は、「カンジダ」というカビの一種が膣内で異常に繁殖してしまったときに生じます。カンジダは誰の膣内や皮膚にも存在するカビです。細菌性膣症と同じように、疲労や寝不足・ストレスなどで心身に負担がかかっているときや、抗菌薬を使用したときなどに発症しやすいです。

おりものは白っぽく、ヨーグルト状・酒粕状でポロポロと崩れるような性状に変化し、酸っぱいようなにおいがすることもあります。デリケートゾーンの強いかゆみ、ヒリヒリ感が特徴的で、一度膣カンジダ症を経験した方であれば「また膣カンジダ症だな」とわかりやすいでしょう。

クラミジア子宮頸管炎

クラミジアは性行為によって感染し、女性の場合は子宮頸管炎や骨盤内炎症性疾患、男性の場合はクラミジア尿道炎や精巣上体炎を引き起こします。性感染症の中では最も患者数が多いです。

女性の半数以上の方が無症状のため、気が付かないうちにパートナーへ感染を広げてしまうことも少なくありません。男性は精巣の腫れや発熱、尿道の違和感や排尿時痛を生じます。女性のクラミジア子宮頸管炎の場合、サラっとしたおりものが多量に分泌されるのが特徴です。

ほかの自覚症状がないことも多いですが、パートナーに症状がある、おりものの多い状態が1週間以上ずっと続いているなど、異変があれば受診してみましょう。

淋菌感染症

淋菌は、クラミジアと同時に感染することも多い感染症です。クラミジアか淋菌か、すぐには判断できないので、一般的には両方の治療を同時におこないます。

男性は排尿時の灼熱感(ヒリヒリ感)や膿が出てくるなどの症状が出ますが、女性はほとんどの場合無症状で、おりものが多少増えるくらいの変化しかないことが多いです。排尿時痛など膀胱炎のように感じる症状も多いため、「膀胱炎の市 販薬を使っているけど治らない」と思っていたら淋菌感染症だったということも考えられます。

気がつかないまま放置していると、卵管炎を起こして不妊や子宮外妊娠の原因になったり、膿瘍(膿がたまること)になったりするかもしれません。パートナーに症状があるときは、受診してしっかり治療をおこないましょう。基本的には性交渉で感染しますが、まれに浴場やタオルなどを介した感染も報告されています。

膣トリコモナス症

膣トリコモナス症は、「トリコモナス」という目に見えない大きさの原虫が性器に入り込み、炎症を起こしたものです。性交渉によって感染することがほとんどですが、下着やタオル、浴槽、便器などを介して感染した例も報告されています。

おりものは黄緑〜黄色っぽく、泡状になるのが特徴的です。「魚の腐敗臭」と表現されるようなニオイになることも多く、異変に気が付きやすい感染症といえます。半数程度の方は無症状ですが、男性よりも女性の方が症状は強いです。

女性の膣内や子宮頸管、男性の尿路や前立腺などに深く侵入していくため、治ったと思ってもまだトリコモナスが残存していて、再感染したりうつしあったりするかもしれません。自覚症状がなくなったとしても、治癒しているかどうかの確認のために再度受診をお願いすることがあります。

妊娠に伴うおりものの変化

妊娠中期ごろから、おりものの量は増えることが多いです。白っぽいサラサラとしたおりものの場合、大きな心配はいりません。

妊娠中は膣の自浄作用が弱まり、疲労や体調不良なども相まって細菌性膣症や膣カンジダ症を発症してしまうこともあります。おりものの量が増えただけでなく、ニオイやかゆみを伴うような場合には、健診の際などにでもご相談ください

出産後は、しばらく「悪露」とよばれる茶色〜黒いおりものが出ます。だんだん量が減っていき、産後1か月くらいを目処に出なくなりますが、急にニオイがキツくなったり、腹痛を伴ったりするときには細菌が繁殖しているかもしれません。異変があればかかりつけの産婦人科へ連絡しましょう。

授乳中は、ホルモンバランスの影響であまりおりものは出なくなります。

萎縮性膣炎

萎縮性膣炎は、閉経後の女性に多い膣の炎症です。閉経後は、女性ホルモンである「エストロゲン」が減少する影響で、膣内が乾燥しやすくなります。また、膣の自浄作用が弱まったり、乾燥で傷つきやすくなったりすることから、雑菌が繁殖しやすい環境へ変わってしまいます。

黄色いおりものやかゆみ、性交時痛、悪臭などの症状が代表的です。エストロゲンが含まれた膣坐剤やクリームを使うことで改善できます。

閉経してからも、女性の体の異変は婦人科で対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

少しでも違和感を感じたら早めに受診を

おりものに異常がおこるのは、様々な原因が考えられます。例えば、夏場などは気温が高く汗で蒸れやすくなり、冬場は厚着することで蒸れやすくなるため、膣周りの衛生面が担保できずに異常をおこすことがあります。

また他にも、トイレの“ビデ”を使いすぎると逆に菌が増殖しやすくなったり、ナプキンやおりものシートを付け続けて蒸れてしまったり、過度なダイエットやストレスなどで体調が変化していると膣内環境が変化しておりものに異常がおこる場合もあります。

おりものの異常から発見できる病気もありますので、もし少しでも異常がある場合にはご自身で判断せずお気軽に当院までご相談にいらしてください。