ピルについて
ピルは使用用途やその人の状況に合わせてお選びいただける数種類の製品があります。
ピルを特徴ごとに分類してご紹介します。
1)エストロゲンの量による分類
ピルは1錠中のエストロゲンの量によって高用量、中用量、低用量、超低用量に分類されます。
- 高用量 :エストロゲンの量が1錠中0.05㎎より多い
- 中用量 :エストロゲンの量が1錠中0.05㎎
- 低用量 :エストロゲンの量が1錠中0.05㎎より少ない
- 超低用量:エストロゲンの量が1錠中0.03㎎より少ない
2)黄体ホルモンの種類による分類
ピルには ●エストロゲンと ●プロゲステロンという2種類の女性ホルモンが含まれています。
低用量ピルに含まれるエストロゲンはすべて同じ種類のエチニルエストラジオールというエストロゲンが含まれています。
プロゲステロンの種類と開発順により低用量ピルは4世代に分けられます。
ノルエチステロン(第1世代ピル)
・シンフェーズ ・フリウェル ・ルナベル(LD/ULD)
ノルエチステロンを使用したピルは一番最初に製造承認された低用量のピルですが、副作用が一番強いわけではなく、ノルエチステロンの作用で生理の量が減り、生理痛緩和効果に優れたピルです。
● シンフェーズはサンデースタートピルと呼ばれ、1錠目を日曜日から内服開始し、消退出血(生理)が週末にかからないように調節します。
● フリウェルとルナベルLDはまったく同じ成分のピルです(製造会社の違い)。
● ルナベル(LD/ULD)は「月経困難症」で保険適応があるピルです。
※ルナベルLDとルナベルULDの違い。英語で低用量をLow Dose(ロー・ドーズ)、超低用量をUltra Low Dose(ウルトラ・ロー・ドーズ) といいます。超低用量ピルはエストロゲン総用量が少なく、血栓症など副作用リスク軽減が期待できます。
レボノルゲストレル(第2世代ピル)
・トリキュラー ・アンジュ ・ラベルフィーユ ・ジェミーナ
● トリキュラーは3相性ピルと呼ばれ、女性の生理的なホルモン動態に対応させるために1周期内服する間にホルモンの量を3段階に増減しています。第1世代の低用量ピルに比べ1周期中のエストロゲン総用量は少なく、生理周期の調節性も向上し、ピル内服中の不正出血の率が低下しています。
● ラベルフィーユはトリキュラーのジェネリック医薬品です。
● ジェミーナは 超低用量ピルです。28日周期にコントロールする従来の内服法に加え、77日間の連続内服を行う方法での利用もできます。月経の回数を減らすことで、PMSの出現回数を減らすことが期待されます。
デソゲストレル(第3世代ピル)
・マーベロン ・ファボワール
● マーベロンは日本ではニキビに悩む女性に人気のピルです。
● ファボワールはマーベロンのジェネリック医薬品です。
ドロスピレノン(第4世代ピル)
・ヤーズ ・ヤーズフレックス
● ヤーズは超低用量ピルです。「抗ミネラルコルチコイド作用」により、浮腫みにくいといわれています。実薬が24錠タイプ(他のピルはすべて21錠タイプ)で、休薬期間が4日間と短く(他のピルは休薬期間が7日間)、ホルモンの変動が少ないため、ホルモン消退時の症状(下腹部痛や頭痛など)を軽減することが期待されます。米国ではPMDD(PMSより精神症状が強い)に対して2006年に治療承認を得ています。日本では「月経困難症」での保険適応があります。
●ヤーズフレックスは上記のヤーズの3つの特長を持ちながら、ピルの連続内服により、月経回数をできるだけ減らす目的を持っています。月経の回数を減らすことで、PMSの出現回数を減らすことが期待されます。
3)保険適応があるか、自費か
自費:シンフェーズ、トリキュラー、マーベロン、ラベルフィーユ、ファボワール保険:ヤーズ、ヤーズフレックス、ルナベル(LD/ULD)、フリウェル、ジェミーナ
低用量ピルと併用注意なお薬(おもなもの)
抗菌薬:リファンピシン(ピルの効果が弱くなる可能性がある。他の抗生剤は問題なし)三環系抗うつ薬:イミプラン(イミプランの効果が強くなる可能性がある。)
抗てんかん薬:フェニントイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、トピラマート(ピルの効果が弱くなる可能性がある。抗てんかん薬の効果が弱くなる可能性がある。)
アセトアミノフェン(アセトアミノフェンの効果が弱くなる可能性がある。ピルの効果が強くなる可能性がある。)
セントジョーンズワート含有食品(ピルの効果が弱くなる可能性がある。)
など。