月経前緊張症(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)とは

PMSとは(Premenstrual Syndrome)の略で、日本語では「月経前症候群」や「月経前緊張症」と呼ばれています。 生理が始まる3~10日前から起こる心とカラダのさまざまな不調のことで、生理が始まると自然に消えたり、軽くなるのが特徴です。 70%程の人が何らかの症状を感じ、6.5%の日本女性が社会生活に支障が出る症状を感じているとの報告があります。
PMDDとは(Premenstrual Dysphoric Disorder)の略で「月経前不快気分障害」と呼ばれています。PMSより精神症状が重いものをいいます。1.2%の日本女性がPMDDとして治療対象となるレベルの症状を感じているとの報告があります。
起こる症状は多岐にわたり、200以上の症状がいわれています。代表的なものとしては、PMSはいらいら・のぼせ・下腹痛・腰痛・頭痛・怒りっぽい・乳房痛・むくみ・ニキビ・便秘・下痢・食欲亢進・嘔気・眠気・不眠など、PMDDの代表的なものとしては、怒りっぽい・暴力的・抑うつ・緊張・無気力・不安・情緒不安定・涙もろい・集中力低下・疲労感・眠気・不眠・悪夢・パニック・妄想などがあります。
原因は不明で、黄体ホルモンが関係しているという説や、セロトニンなど神経伝達物質の異常だとする説、レニン・アンギオテンシン系というホルモンの異常だとする説、ビタミンの不足が原因とする説など諸説あります。

PMS、PMDDの治療

◎セルフケア

まずは自分の体の変化を知り、自分に合ったセルフケアを取り入れ、健康的なライフスタイルを心がけます。

●バランスの良い食事・サプリメント

果物・野菜など食物繊維の多いものや、オメガ3脂肪酸(EPA、DHA、α‐リノレン酸)を積極的に摂り、オメガ6脂肪酸(揚げ物、マヨネーズ、スナック菓子、カップ麺)、砂糖、塩、カフェインとアルコールを減らします。

そのほかの栄養素として、ビタミンB6(玄米・豆類、青魚・マグロ・鮭、レバー、豚肉、ニンニクなど)、ビタミンD(しいたけ・きのこ類、青魚、鮭、卵など)、マグネシウム(ナッツ類、海藻類、大豆製品など)、カルシウム(こまつな・葉ダイコンなどアブラナ科の野菜、小魚、乳製品など)を積極的に摂ります。食事以外でも栄養素の補充としてサプリメントを摂取することも出来ます。

そのほか大豆イソフラボンやチェストツリー、セントジョーンズワートなどPMS・PMDDに効果があるとされるサプリメントもあります。サプリメント類は薬と併用できないケースなどもありますので、使用の際にはかかりつけ医にご相談ください。

●適度な運動・リラクゼーション

散歩・ウオーキング・ストレッチなどは気分転換や、全身の血流の改善になるので、心身の不調の改善効果があります。ヨガ・深呼吸などはリラックス効果もあります。アロマオイルやハーブティーなどを取り入れても効果的です。

◎カウンセリング

臨床心理士や婦人科・精神科・心療内科の医師による面談を通して、自分の症状への理解を深め、不安を取り除くなどのサポートを得られます。

◎薬物療法

●ホルモン療法

PMSの症状は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの急激な変化が関係すると考えられています。そのためPMSの治療は、2種類の女性ホルモン合剤である低用量ピルまたは超低用量ピルを用います。ピルを内服すると、脳からの卵巣を刺激するホルモンの分泌が低下します。卵巣は刺激を受けないため、卵巣機能が休止モードに傾き排卵をしなくなります。排卵が抑えられることによって、女性ホルモン量がある程度一定に保たれるため、PMSの症状が軽くなります。
>>当院でのピル処方の流れ

● 抗うつ剤・精神安定剤

PMDDは日常生活に支障をきたすほどの重症の精神症状がみられるため、うつ病や不安障害などに効果があるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という薬が有効だといわれています。身体症状がほとんど見られず、精神症状が重症の場合は精神科・心療内科での治療をお勧めすることもあります。また、イライラや不安感、孤独感、喪失感などの症状には抗不安剤(精神安定剤)を使用することもあります。

●漢方薬

漢方医学では気(キ)、血(ケツ)、水(スイ)が体内を過不足なく循環することで体のバランスが維持されると考えています。PMS・PMDDは、これら「気」「血」「水」のバランスが崩れ、多彩な症状をきたしている状態といえます。血液循環が変化するためにおこる瘀血・血虚、ホルモンの変化によって体内に水分が貯留する水滞・水毒、エネルギーの巡りが停滞してしまう気滞、など状態に応じた漢方薬を使用します。

●その他対症療法

下腹痛・腰痛・頭痛など痛みには鎮痛剤、嘔気には制吐剤、下痢・便秘には整腸剤や下剤、肌トラブルにはビタミン剤や軟膏など症状に合った処方を調整します。