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膀胱炎について

医療法人みらいグループ

排尿の際のトラブルで真っ先に疑われる膀胱炎。実は、膀胱炎は女性に発症しやすい病気です。何度も再発を繰り返している人も少なくありません。さらに、閉経後は発症リスクが高まると言われており、早期に発見し重症化させないことが大切です。

膀胱炎とはどのような病気?

排尿が関係する病気として膀胱炎という名前を聞いたことがある人も多いでしょう。膀胱炎は、その名の通り膀胱に炎症が起こる病気です。

膀胱は尿を一時的に蓄積する器官であり、尿が溜まると風船のように膨らみ排尿する際に収縮します。膀胱や尿管などには、普段は細菌やウイルスなどの感染源は存在せず、尿道口から侵入したものは排尿によって排出されるのが特徴です。しかし、何らかの原因によって膀胱内で細菌やウイルスが増殖してしまうと、内部で炎症が起こり、排尿に関連するさまざまな症状を引き起こします。

膀胱炎の種類

膀胱炎は、原因や症状によってさまざまな種類に分かれます。

急性膀胱炎(単純性膀胱炎)

急性膀胱炎は最も一般的な膀胱炎です。病気が原因している訳ではなく、何らかの原因で細菌が膀胱内に侵入してしまい炎症を起こします。単純性膀胱炎とも呼ばれ、特に女性に起こりやすい膀胱炎の一種です。

慢性膀胱炎(複雑性膀胱炎)

慢性膀胱炎は基礎疾患が原因で起こる膀胱炎です。基礎疾患が由来しているため、原因となる病気が完治しなければ何度でも再発の可能性があります。慢性膀胱炎は複雑性膀胱炎とも呼ばれ、基礎疾患を持っているかどうか分かっているかどうかによって、診断のスピードが変わると言えるでしょう。何度も膀胱炎を繰り返す場合は、自分でも気付いていない基礎疾患がないか詳しく調べる必要があります。

間質性膀胱炎

間質性膀胱炎は膀胱内部の粘膜で炎症が起き、膀胱の収縮を司る筋肉層が萎縮してしまう病気で難治性膀胱炎のひとつです。膀胱に液体を注入して萎縮した部分を膨らませる治療法などもありますが、その多くが半年以内に再発しており、未だ完治できる治療方法は確立されていません。

嚢胞性膀胱炎

嚢胞性膀胱炎とは、膀胱内部に嚢胞が発生する膀胱炎です。嚢胞とは、中に膿や水・空気などを含んで膨らむいわば水膨れのようなものと言えます。膀胱に嚢胞が発生した場合、多くは良性で小さなものであることが多いです。しかし、まれに大きくなった嚢胞が膀胱で破裂してしまい流出した膿によって感染症を引き起こすことがあります。

放射線膀胱炎

放射線膀胱炎は、放射線を照射することによって起こる膀胱炎です。放射線の影響で膀胱に炎症が起きてしまう病気で、その症状は間質性膀胱炎とも似ています。前立腺がん、膀胱がん、子宮断がんなど、骨盤内で起こるがんに対して放射線治療を行った人に多くみられる膀胱炎です。

真菌性膀胱炎

真菌性膀胱炎とは真菌(カビ)が原因で起こる膀胱炎で、その多くはガンジタ菌が由来しています。本来は常在菌として共生しているカンジダ菌が何らかの影響で爆発的に膀胱内で増殖してしまうと、膀胱炎を発症します。

出血性膀胱炎

出血性膀胱炎は、さまざまな原因によって起こる膀胱炎のなかでも、血尿の症状を伴うものの総称です。血尿が原因で尿道に血の固まりが詰まってしまうケースもあります。原因は、ウイルス、放射線、がん、薬の副作用、アレルギーなど多岐にわたるため、精密な検査が必要です。

膀胱炎の症状

膀胱炎の症状には以下のようなものがあります。

  • 頻尿
  • 排尿時の沁みるような痛み
  • 残尿感
  • 尿の白濁
  • 下腹部の鈍痛
  • 尿の異臭
  • 血尿

特に、膀胱炎は尿が白濁して臭いがきつくなるのが特徴です。これは、白血球や膀胱の分泌液・粘膜などが排出されていることが原因と考えられます。

また、これらの症状の他に発熱がみられる場合は、膀胱炎が重症化している可能性もあるため、速やかに医療機関を受診しましょう。

膀胱炎の原因

膀胱炎の原因にはさまざまなものがありますが、今回は特に起こりやすい急性膀胱炎(単純性膀胱炎)の原因について紹介します。

大腸菌などが膀胱に侵入する

急性膀胱炎で多いのが、大腸菌が膀胱に侵入・増殖して起こるケースです。大便をした際などに排出された大腸菌が、尿道に侵入し膀胱で増殖すると急性膀胱炎を起こしてしまいます。

排尿を我慢してしまう

通常、膀胱に何らかの雑菌等が侵入しても、排尿時には尿と共に排出されてしまいます。しかし、排尿を長く我慢してしまうことで、膀胱内で雑菌が増殖し炎症を起こすことがあります。

免疫力が弱まっている

免疫力が弱まっている場合、わずかな菌の侵入によって膀胱が炎症を起こしてしまうことがあります。特に女性の膀胱炎は体調不良などの際に発症しやすいのが特徴です。

女性が膀胱炎になりやすい理由

女性は男性に比べると、膀胱炎の発症割合が高いと言われています。その理由は、男女の体の違いによって説明できます。

男性は尿道が約20cmなのに対し、女性の尿道は約4cmと1/5程度しかありません。尿道に雑菌が侵入してから膀胱に辿り着くまでの距離に差があります。

また、女性が膀胱炎を起こすリスクのひとつとして排泄や性交が挙げられます。女性は尿道と膣、肛門の位置が近いため、排泄や性交の際に尿道へ雑菌が侵入しやすいのです。

その他、生理時にナプキンを長時間利用することで尿道に雑菌が侵入しやすくなるリスクも挙げられます。このように、女性は身体的に膀胱炎になりやすいということが分かりますね。

膀胱炎の重症化で腎盂腎炎を発症することも

膀胱炎の症状は主に排尿に関するものが多く、日常的なストレスや不快感を伴います。しかし、発熱などの症状がみられないことから、放置してしまい重症化するケースが少なくありません。

膀胱炎を放置すると、炎症は膀胱から腎盂(じんう)に広がります。そして発症するのが、腎盂腎炎(じんうじんえん)です。

腎盂腎炎を発症すると、高熱や嘔吐、背中の痛みや腰の痛みなどの症状があらわれます。さらに、腎盂腎炎が重症化すると、菌血症や腎膿瘍などの病気を誘発するリスクがあるため、膀胱炎は放置せずに早めに治療を行うようにしましょう。

膀胱炎を疑う場合は何科を受診すればいい?

膀胱炎の症状が見られる場合には、泌尿器科を受診するとよいでしょう。泌尿器科であれば、詳しい検査や重症化してしまった際の対処なども可能です。

一方、症状が軽い場合や近隣に泌尿器科のある病院がない場合には、内科や婦人科を受診するのもよいでしょう。尿検査によって膀胱炎の診断が可能です。ただし、重症の場合や他の病気の影響によって膀胱炎が引き起こされている場合には、泌尿器科への受診を求められる可能性が高いです。

膀胱炎かと思ったら婦人科系疾患だったというケースも

膀胱の近くには子宮や卵巣などの女性器もあります。そのため、膀胱が痛むと思っていたものの、実は子宮や卵巣などに異常があり、婦人科系疾患が見つかるというケースも少なくありません。

婦人科系疾患の場合、泌尿器科や内科では対応が難しいこともあるため、患者が女性であり膀胱炎を疑う症状が軽い場合は、婦人科を受診するのもおすすめです。

こんな症状がみられる場合は婦人科を受診しよう

膀胱炎の症状以外にも以下の症状が見られる場合には、婦人科を受診するのがおすすめです。

  • 不正出血がある
  • おりものの量、色、臭いなどに変化がある
  • 子宮や卵巣の痛みを感じる

特に、クラミジアなどの性感染症は膀胱炎に似た症状に加え不正出血やおりものの異常がみられます。

膀胱炎の検査方法

膀胱炎の検査は主に尿検査で行います。尿に含まれる成分を調べる一般的な尿検査のほか、細菌の有無や白血球の量を調べる「尿沈査(ちんさ)検査」、尿に含まれている細菌の種類を調べる「尿培養検査」なども適時行われます。

膀胱炎の治療方法

治療方法は膀胱炎の種類によって異なります。

急性膀胱炎(単純性膀胱炎)の場合

急性膀胱炎の場合は、大腸菌が原因菌であるケースが多いため、一般的に抗生物質が処方されます。抗生物質は、処方された量を飲み切ることで効果を発揮するため、必ず最後まで飲み切る様にしましょう。

また、近年抗生物質に耐性を持った細菌の発生も報告されています。薬を服用しているのにも関わらず症状が改善しない場合は、もう一度受診してください。

慢性膀胱炎(複雑性膀胱炎)の場合

慢性膀胱炎の場合には、基礎疾患の治療を主に行います、慢性膀胱炎は基礎疾患を完治しない限り、再発を繰り返してしまうため膀胱炎独自の治療ではなく、基礎疾患の治療を行うのが一般的です。ただし、発熱等の症状がみられる場合には腎盂腎炎などの重症化を防ぐため、抗生物質の処方をするケースが多くみられます。

膀胱炎は自然治癒する?

膀胱炎のなかでも、急性膀胱炎(単純性膀胱炎)は極軽度の状態であれば、水分を多めに摂取して尿量を増やし原因菌を排出することで症状の緩和や自然治癒が期待できるケースがあります。

しかし、菌が膀胱内に残って再び繁殖してしまえば、膀胱炎はすぐに再発してしまうため、医療機関を受診し抗生物質の処方を受ける方が良いでしょう。

膀胱は本来、大腸菌などの存在しない器官であるため、僅かに残った菌によって簡単に再発してしまいます。自然治癒を待っている間に悪化してしまう可能性も高いため、症状に気付いたら直ぐに医療機関を受診し処置してもらうのがおすすめです。

膀胱炎の時にしてはいけないこと

膀胱炎の症状が疑われた際には、アルコールの摂取は控えた方がよいでしょう。「アルコールを摂取すると頻繁にトイレに行きたくなるから、膀胱炎の対処方法として悪くないのでは?」なんて言う人もいますが、以下の理由で膀胱炎発症時のアルコール摂取は避けた方がよいと考えられます。

  • アルコールによって膀胱内が充血し(血流が良くなるため)炎症が悪化するから
  • アルコールは抗生物質の働きを弱めることがあるから

膀胱炎は抗生物質の服用を始めると約3日で症状が収まるケースが多いです。そこから、処方された抗生物質を全て飲み切るまでは、飲酒は控えるようにしてください。また、スパイスなどを含む刺激物も、血管を拡張し炎症を悪化させてしまう恐れがあるため、控えた方がよいでしょう。

膀胱炎の予防方法

膀胱炎は、日常生活のさまざまな点で意識して予防することができます。特に発症リスクが高い人は、以下の予防方法を実践してみてください。

予防法その1.水分をしっかりとる

水分の摂取量が減ると、排尿も少なくなってしまい、尿道に付着した菌を排出できないため膀胱炎のリスクが高まってしまいます。水分をしっかりと摂取し、排尿によって菌を適時排出するようにしましょう。

特に、夏は汗などで水分が体内から失われていくため、脱水状態になり排尿量が低下しがちです。膀胱炎は冬に比べて夏の方が起こりやすいと言われているため、しっかりと水分をとるようにしてください。

予防法その2.トイレを我慢しない

日常生活のさまざまなシーンでトイレを我慢してしまう人は、膀胱炎になりやすい傾向にあります。膀胱に長く尿を留めてしまうと、尿管に付着した菌が膀胱内に侵入・増殖するリスクが高まります。

まめに排尿し、尿と共に原因菌を排出するよう心掛けましょう。

予防法その3.ストレスや過労を放置しない

ストレスや過労は免疫力低下の原因になります。免疫力が低下してしまうと、本来は炎症を起こす前に対処できる微弱な菌に感染しやすくなることがあります。ストレスを溜め過ぎないようにし、充分な休息をとるのも膀胱炎の予防法のひとつです。

また、過剰なダイエットも免疫力低下を引き起こす恐れがあるため注意しましょう。

予防法その4.陰部を清潔に保つ

女性の場合は、排便の際に尿道に大腸菌などが付着しないよう前から後ろに向かって拭き取りすることを心掛けましょう。また、膀胱炎になりやすい人に関しては頻繁にウォシュレットを使うのもおすすめしません。ウォシュレットによって菌が尿道に押し込まれてしまうこともあるため、使用は短い時間で止め、丁寧に拭き取ってください。

その他、生理中はナプキンをまめに取り換えるなど、陰部を清潔に保つよう心掛けましょう。

予防法その5.性行為後は排尿をする

女性は性行為の際に尿道に大腸菌などが付着するケースもあります。そのため、性行為後は排尿をして、菌が膀胱内に侵入するのを防ぎましょう。

性行為後に軽くシャワーを浴びて、陰部を清潔に保つ方法も非常に効果的です。

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排尿に関するマイナートラブルが多発する膀胱炎は、女性にとっては非常に身近な病気であるため、常に予防方法を意識して生活することが大切です。

「もしかして膀胱炎かも?」と思ったら、重症化してしまう前に医療機関を受診し、早めに治療するのがよいでしょう。膀胱炎の多くは、抗生物質の服用で短期間で完治可能です。

「少しトイレが近いだけだから大丈夫」なんて過信せず、女性は膀胱炎になりやすいことを理解したうえで早めに対処するようにしましょう。

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